2023年の秋。名古屋造形大学のゾーンギャラリー(同窓会サロン)へ、イラストレーター・伊藤栄章(通称:えいしょう)さんの回顧展を見に行きました。名古屋造形大卒業の栄章さんは2020年に65歳で永眠。有名人ではありませんが、イラストレーターとして多様なお客の仕事を引き受け、卓越した技術とセンスで応えてきました。“その経歴を活かしてもうひと花を”というときに亡くなってしまった・・・残念でなりません。我がデザインプロダクション「リンコムアソシエーツ」も伊藤さんに仕事をしていただいた。有名人ではありませんが、社会に確かな足跡を残した彼の仕事を振り返ってみます。 写真:伊藤栄章《スペースコロニー》Think tank表紙、1985年原画

伊藤栄章《スポーツカー(仮題)》2004年原画
卓越した技術とセンス
1978年から亡くなるまでの42年間は、手描きの平面イラストとその後に主流となったデジタルイラストが混在する時代。栄章さんは、得意な手描きオリジナルイラストを基に、多様な仕事をこなしてきました。彼独自のセンスで、ペーパークラフト、立体、オブジェ、フィギュア原型、ジオラマ等々・・・。その中には皆さんが目にした仕事もあると思います。

伊藤栄章グッズ類《グランパス・フィギュア原型》など
旺盛な好奇心と徹底したこだわり
栄章さんの真骨頂は、手描きオリジナルイラストの細部!!例えば、掲載作品の「スペースコロニー」は全て手描きで、画面と一体になって描き込む栄章さんが見えるようです。一方で、「青いバラ」や「スポーツカー(仮題)」のように伸びやかな作品も見られ、彼自身が語りかけてくるようでした。

伊藤栄章《青いバラ》2013年原画

名古屋造形大学・ゾーンギャラリー
スタッフ/広瀬由利子(nickname:ゆりば)二世帯同居で、孫育て中。