子育てアドバイス「親と子の“違い”を受け入れる」

●アドバイスは-
名古屋女子大学短期大学部保育学科講師 臨床心理士
幸 順子 先生

人間は生まれた時から人や外界との関わりの中で、自分に気づくことを積み重ねながら、「自分らしさ」を築いていきます。「自分らしさ」が始めからあるわけではありません。

私自身について言えば、青年期、人との違いを感じる中で自分自身を意識し、時には人と異なる自分に自信が持てず、深く悩んだ時もありました。そういう私に、ある時、友人が言いました。「自分で自分が認められないんだね」というようなことを。友人の言葉によって、私は自分で自分を受け入れていないということをはっきりと意識し、そのことに気づいた時、目から鱗が落ちるように自分自身への一種あきらめのような気持ちが生じ、仕方がないじゃないか、そんな自分もやっぱり自分であると「今在る私らしさ」を受け入れ、次第に人との違いも肯定的に受け止めることができるようになっていったような気がします。

今、私自身が子どもを産み育て、若い世代の人々の育ちに関わる中でますます感じるのは、人は皆違うということ。一番身近な我が子ですら成長するにつれ、知らない世界を持つ異なる存在であることを感じてきました。しかし自分とは異なる存在だからこそ、他者を知り理解したいという気持ちも湧いてくるような気がします。

私たちの人間関係というのは、関わりを強いたり、うまく関わろうとして関われるものではなく、むしろ、お互いに自分と違う他者を認め、理解しようとすることを通じて関わりが深まり、他者への共感の情も育むことができるようになるのではないかと思っています。そしてそのような関係の中で、お互いがお互いらしくいられたら、なおのこと素敵ではないでしょうか。

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